地震による災害は,自然災害の中でももっとも恐ろしいものとされています。それは,地震の発生が突発的であり,瞬時に建物やいろいろな構造物に被害を与える上,津波や崖崩れ,火災など様々な災害を同時多発的に連鎖誘発するためです。
大きな被害が発生した阪神・淡路大震災では、地震による死者のうち、約9割が家屋の倒壊等による窒息・圧死でした。
本来、どんな建物でも、基本的な耐震性能は備わっていなくてはなりません。けれども古い家の多く(特に1981年6月の新耐震基準が施行される前に建てられた家)は、現在の耐震基準からみると不十分な性能のものが多く、強い地震が来れば、大破、倒壊などの大きな被害を受ける恐れが強いのです。
倒壊さえしなければ、多くの人命を失わずにすみます。ご自身とご家族の生命、そして地域の絆を守るため、住まいを倒壊させてはなりません。明日の避難所での生活を心配するよりも、今やっておくべきことがあるのです。
リフォームするときに耐震補強もしておく
耐震補強は、古い家などを倒壊させない基本的な方法です。ただ目に見えない性能向上改修ですから、効果を実感できる機会は少なく、どのような工事をするのかよくわからないところもあります。切迫感はあってもなかなか手をつけにくいかもしれません。
最近は環境保全などの考え方から、建物を長く大事に使うようになり、間取り替えや水回りの一新といったリフォームが盛んです。耐震補強のためだけのリフォームは考えにくくても、これら「夢のある」リフォームに耐震補強も組込めば、割安かつ合理的に工事ができます。
今回の特集は、こうした視点で耐震補強の基本的な知識や方法をまとめました。なお対象に想定しているのは、一般的な在来工法による木造住宅(100~150㎡程度、2階建て)です。
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